D&D3.5e冒険シナリオシリーズ7「鋼鉄城の主」【第1回】―プロジェクタ投影導入事例―

ひさびさのDMかつプロジェクターでのマップ投影を導入してみました。
というわけで、今回はいつものセッションレポートではなく、プロジェクターを利用したセッション形態の1つの事例としての観点に重きを置いていこうかと思います。

使用機材と設置方法の詳細については文末にまとめておきます。

まずは第1回のセッションを終えての所見は、「お、意外にいいんじゃね?」という感じです。
まぁ、目新しさもあると思いますが、参加者の反応はなかなかに良く、「おー!」「へー!」という表情が見られたことに満足。

運用に際して、プレイヤーが持ち寄ったフィギュア(コマ)およびDMが使う中型のフィギュアと、ソフトウェアで描画しているDMの大型以上のクリーチャーの混在して置かれる環境で、果たしてDMのクリーチャーがきちんと認識できるかという懸念があったのですが、ソフトのクリーチャーに関しては、フチに色を付けてみたりしたこともあって視認性・識別性は悪くないようでした。


そのほか、事前に気になっていたのは以下の点など。

  • スムーズなマスタリングが可能かどうか。
    • レイヤの切替えのほか、DMがPC(の操作)とルールブック、印刷したシナリオ資料等を行ったりきたりするので進行に支障がでないかという不安。
  • 機材による場所などの占有、ケーブル等の引っ掛け問題
    • キャパシティは1名減ったかな。。。ケーブルはもう気をつけてねというしかないw


実際に運用してみてよかったのは以下のような点でした。

  • マップ管理が楽

複数のマップを管理するのが楽です。印刷したものを分割した紙をめくりながら出したり、シナリオを見ながらマップシートに描き込んでいく手間などもないのでさっと出してさっと消せます。

  • イラスト等を見せやすい

シナリオの挿絵などをスキャンして取り込み、NPCの外見*1、門の外観などのイラストを見せることができます。大写しにできるので、等倍コピーだとプレイヤーに順番に紙を回して見てもらうようなイラストも、テーブルいっぱいに表示して見てもらうことが可能。


また、今回「都市ライガス」の外観についてもイランやトルコの中世から残っている城砦都市の外壁の写真などをネットでダウンロードしておき、「ライガスの城砦や町並みはこんな感じだ」とか言いながら見せられました。今回のはセッションの何に役立つわけではありませんが、たとえば材質やら部屋の高さやら装飾の具合などの共通認識があったほうがよいダンジョンを出した場合などは、イメージ画像が1〜2枚あるだけでも結構違ったりします*2

  • 呪文の範囲などをさっと描ける

範囲のテンプレートを作っておいてもよいのですが、特定の範囲を塗りつぶすだけならその場で描いてもたいした手間ではありません。よくやるのが「ファイアーボールを味方を巻き込まず、なるべく敵を多く範囲に含めて撃ちたい」というようなケース。
範囲を塗りつぶし、そのレイヤーの透明度を60%くらいに設定すると下のマスも透けるのでそれを動かして最適な場所を選んだりできます。針金などで範囲の枠を作ったり、あとで消せるシートに水性ペンで範囲を書き込んだりと、みんな工夫はしているのですが、どうしても枠やペンをフィギュアを引っ掛けて動かしてしまったり、枠などがDMの用意したマップのマス目のサイズと微妙に異なっていたりすることがありました。
また、同様に一定時間一定範囲に効果が残るような呪文などの場合もこうしたレイヤーを作っておけば効果範囲を書き込んだり、効果が終わった後にまた消したりという作業をしなくて済み、なにより見た目もスマートです。

今回は試していませんが、定規ツールなどを使えば距離が、直線を引けば遮蔽の有無などを手軽に調べることもできます。


一方、課題も残りました。

  • 戦闘時のクリーチャーの管理
    • プロジェクターでなくても同様ですが、個別クリーチャーの管理がちょっと煩雑です。せっかくなのでコマにステータスやらダメージやらを追記できればスマートなのですが、ダメージ減少とかのデータがばれるとかそれをどうするかとか。

あとは同種複数のクリーチャーは番号を振るとか色を変えるとかしないと管理しづらいのですが、クリーチャーの登録が少し手間で、あまりたくさん登録するとメモリが心配なので、ちょっと宿題。

  • レイヤ名の管理
    • 各レイヤにクリーチャーを配置していたりしますが、まさかレイヤ名を「ドラゴン」とかしておくわけにいかないのでこれをDMがわかるがPLはわからないような名前にしておく必要とか。まぁ、これは対応表をきちんと作っておけばいいだけなんですけどね。


課題の大きな原因の1つは「プレイヤとDMが同じ画面を見ている」ということです。
レイヤの問題にしてもクリーチャー管理にしても、DMのみ見ていい/DMだけが見たくてPLに見せたくない情報というのが原則的に表示できないので、これをどうするか。


今回は、「P01遭遇01」(シナリオの1ページの遭遇の1体目のクリーチャー)のようなレイヤ名などをつけたのですが、ヌケがあったりしてたいへんでした。。。。これもちゃんとチェックすれば済むことなんですが。


運用上のことで言えば、現場で融通が利かないことがあるので準備はきちんとしておくこと。。。。いや、プロジェクターでなくてもそうなんだけどサ。


準備の点で言えば確かに手間は増えますが、うまくすると使い回しができるものが多かったりするので手順が定型化してしまえばそれほどたいへんじゃないかも。

今回はぶっちゃけ通常の2倍くらい手間がかかってますが、やり方や表示のテストでトライ&エラーを繰り返したのが大きかったように思います。


Photoshopのレイヤ機能は強力ですが、メモリの点とクリーチャー管理の点で不満があるので、オンラインセッション用のツールやVisioなどのほかのソフトも試してみたいと思います。


ただ、オンラインセッション用のツールはDM情報が見えてしまうので意外に難しいかも???



■機材等の環境

何はなくともこれがなくてはお話にならないプロジェクターはコレ。

TAXAN LED光源エコプロジェクター SVGA 780g DLP方式 KG-PL105S

TAXAN LED光源エコプロジェクター SVGA 780g DLP方式 KG-PL105S

実は我が家の4台目(4代目)のプロジェクターです。
未調整だと赤の発色が強い気がしますがコントラストや明るさは充分かつ、なによりも静音性に優れており、従来のプロジェクターに比べて作動音がほとんど気になりません*3。ファン音が低いので発熱も従来より低い気がします。

PC接続(ミニD-sub15ピン)を含めて必要なケーブルは同梱されており、ケーブル延長の必要がなければケーブル類の追加購入も必要なし。


ただし、ケーブルの長さは、電源ケーブルが2.5m程度*4、ミニD-sub15ピンケーブルは1.5m程度なので、天井から壁を這わせて配線、、、という取り回しはできません。


データを操作するPCはLenovoネットブックIdeaPad S10」
[rakuten:n-pal2:10013156:detail]


解像度は 1,024×576 で使用(IdeaPadの標準)。

あとは固定用につっぱり棒、カメラ用三脚、結線用マジックテープ、模造紙等の白くて適度に光を反射する平面のもの。

ソフトウェアはPhotoshopを利用。
スキャナで取り込んだマップ、ダウンロードしたり同じく取り込んだクリーチャの画像を準備し、マップを一番下のレイヤに配置。
冒険シナリオシリーズは基本的にDM用のマップなので、DM用の情報(クリーチャーの隠れている位置や隠しドアなど)はちまちまと画像修正して消して置きます。これが結構面倒なのですが、実は以前からこうやって修正したマップを実寸(つまり1辺1インチのマスサイズ)で印刷していたので、今回のプロジェクター投影計画に関わらず発生する作業でした。

この上に、各クリーチャーをレイヤに配置します。D&D3.5eではクリーチャは正方形の設置面を持つので、まずは画像を正方形に整形します。Photoshopでは画像サイズを長いほうの辺と同じに変更すれば簡単に整形可能。このとき、見やすいように色のついたフチなどを付けたりしました。
で、配置は1体1レイヤ。これは戦闘中に移動させるコマなので、同じレイヤには1体しか置きません。

配置したクリーチャーのサイズをマス目にあわせて変更し、クリーチャーの配置完了です。こうして書くと結構手間ですね。

さらに視界レイヤを作ります。これは一番上に空のレイヤを作成し、黒で塗りつぶすだけ。
PCの初期配置位置あたりを消しゴムツールでてきとーに消しておけば、初期配置時に見られる箇所だけが見えているという寸法。PCが探索を進めると、それに応じて視界レイヤの黒い部分を消していきます。


■設置について
つっぱり棒(耐荷重30Kg:ただしこれは横に渡した場合)を天井とテーブル面に立て、そこに三脚に固定したプロジェクターを三脚ごと結線用マジックテープで縛り付けて固定しました。
「KG-PL105S」の底部にはカメラなどと同じ固定穴があるので、一般のカメラ・ビデオ用の三脚や一脚が利用可能なのです。ただ、この固定穴がついてある製品とついてない製品があると思われるので、この固定方法は必ずしも一般的ではないと思います。


投影するスクリーンは白の模造紙(100円ショップで購入)をテーブルの上に広げたもの。


プロジェクターは反射率の良い投影面のほうが見えやすいので、ここの素材も研究対象かも。書き込みができるという点ではゲーム用のマップシートなども良いのですが、発色の点からプラ板を試してみようと思っています。

設置したプロジェクターとPCを接続し、投影してみてピントと発色などを調整します。
最後に、マップを投影し、マス目の大きさを1インチになるようにマップを縮小・拡大して調整して投影準備完了です。

*1:まぁ、今回のNPCはイラストとデータの装備がぜんぜん違うとかだが、、、、

*2:何かをする段になって認識が違うことが結構ある。「じゃあ壁登ります」「つるつるの壁なので難易度25」「えー、うそー、じゃあ登らないよ」「えー、行動宣言したじゃんー」とか

*3:これ重要!結構気になるんだ。これが。

*4:ただし、結構でかいアダプターが真ん中についてるので、宙ぶらりんにするのは怖い。結局、1.5m程度が稼動範囲。