青葉台
降りそうで降らなさそうな曇りソラ。
先日、出勤途中の集合住宅前のゴミ捨て場に「ネコの死体」と書かれたダンボール箱が置かれてありました。
赤いマジックで、まるで粗大ゴミかワレモノの注意書きのように書かれた文字が、むごいというか、寂しいというか。
おそらく市のゴミ出しの要綱どおりの対処なのでしょうが、誰を非難するというわけでなしになんとなく後ろめたいような気持ちになりました。
犬猫の遺骸が「廃棄物」であることは知っていますが、あのネコはどのような経緯であの箱に収まっているのでしょうか。
交通事故で死んでしまったのを近所の人が処置したのか、あるいは飼い猫が死んでしまい、家族が見守りながら箱に収めたのか、はたまた良く来ていたノラネコがある日庭先で息絶えていたのを見つけたのか。
マジックの文字は線を大きく太く見せるように何度なぞって書かれており、なにやら投げやりにも見えるそこには愛情は感じられなく、あきらめというかやるせなさのようなものすら浮かんでいたように思うのはわしの感傷だったのかもしれません。
娘「えーん、ナナミちゃんが死んじゃったー」
母「ナナミちゃんはもう長く生きたからね。。。お手手合わせてナナミちゃんにお別れを言いなさい」
娘「えーん、えーん」
母「でも、ナナミちゃんを埋める庭はうちにはないし、その辺に埋めちゃまずいだろうし。。。。」
父「犬猫の死体は廃棄物だからゴミに出さなきゃならんらしいな*1」
母「まぁ。ゴミなんですか?なんだかかわいそう」
父「仕方ないだろ。金魚くらいなら埋めても大したことはないかもしれんが、犬や猫の死体をその辺に埋めたら非衛生的だ」
母「そうかもしれませんが、、、じゃあこのダンボール箱に入れて明日の朝の回収で持っていってもらいましょうか」
父「そうだな。あと、ネコの死体ってわかるように書いとかなきゃな」
母「ナナミちゃんの死体、って書いちゃだめなんですか?」
父「うちの子が娘なのに、ナナミの死体、って書いて近所の人が見たらオマエ、なんか勘違いされるだろ?それに何が入ってるかわからないとゴミを回収する人だって困る」
母「そうね。。。ごめんねナナミちゃん。成仏してね」
父「マジックどこだ?お、あったあった。。。えーっと、ネコのぉ。。。。死体ぃ。。。。っと」
母「ネコの死体“です”、って書かなくていい?」
父「死体って書いてるのに DEATH って」
母「ちがうわよ!」
父「ハハハ、冗談、冗談。大きく書いちゃったからもう書くスペースがないよ」
母「じゃあ、みんな手を合わせてナナミちゃんとお別れしましょう」
父「うちの中に置いておいてもなんだから、もうゴミ置き場に出してきちゃうぞ?」
母「おねがいします」
娘「ぐす、、、、バイバイ、ナナミちゃん。。。」
父「出してきたら晩御飯にしよう。良いにおいだな今夜は焼き魚か?」
母「ええ、秋刀魚の死体 DEATH」
父「・・・・・。」
*1:ペットの弔いを受けているお寺もあるけど