青葉台

Dowa2010-06-08

天気は下り坂で、朝のうちはまだぽつぽつと降ったりやんだりする程度でしたが夜になってぼちぼち降り始めました。
びわの白い花が大きく開いて、まるで雨だれを受け止めようとする器のようです。


昨日はわしの誕生日で、また一年を息災に過ごせたことに感謝。さらなる一年もまた息災であればと思います。

全国からの祝いの品が山と積まれていますが、部屋にはまだ若干の余裕がありますので、プレゼントを追ってお送りされる方はご遠慮なくお送りください。


おおげさがきらい (講談社文庫)

おおげさがきらい (講談社文庫)


池波正太郎のエッセイ。昭和40年前後のまだ若い頃に書かれたものが多く収録されているのですが、くしくも今のわしと同じ年で書かれているものが何本かありました。


戦争を体験している世代ということもあるのか、同じ年齢なのにすごい老成ぶりです。若いときは自分が大人になったらもっと大人になるかと思っていたら、思ったより大人にならなくてびっくりですよ(゜▽゜)ハハハハハハハ


かなり散文的に書かれたものもあり、後年の池波エッセイと比べると玉石混合な感じはありますが、後年とはまた違った勢いのようなものも感じました。


このエッセイで、「若い人に向けて書いてくれ」といわれたテーマで「まだ自分も若いつもりだし、“最近の若いものは・・・”というようになったらオシマイだ。チョンマゲ時代から若者の狂態というものはあったのだ」と前置きしつつも、映画館でガムをクチャクチャ音を立てて噛み、注意されても改めず、そして映画を観て感動して涙を流している若者たちに遭遇したエピソードを取り上げておられました*1

それを評しての

「よろこび」も「楽しみ」も、今の時代に於いては、すべて自分ひとりのものになってしまったのであろうか。

というこの一文の鮮やかさよ。

路傍に咲く花を見て美しいと思い、それを何も考えずに手折ってしまうような人々の浅ましさの核心を突いているではないですか。
咲く花を見上げて隣人を振り返り「ほら綺麗に咲いている!」と声をかけるココロの余裕を持ちたいものです。


で、その観ていた映画というのが『ウエスト・サイド・ストーリー』なのだそうですが、偶然にも昨日、打ち合わせで某ご老公が、「僕が若い頃に『ウエスト・サイド・ストーリー』が流行って、そりゃもう夢中になって映画館に観にいったり、サントラを持ってるやつの部屋に行ってレコードを聞いたもんさ!」と言ってるのを思い出したという次第。


昭和40年代前後の若者すべてが映画館でガム噛んでたわけではないでしょうけど、その現在の振る舞いを見るに・・・・・・・ああ、さもあらん。

*1:どうやら氏は厳しく注意したかつまみ出したようですが、「ぼくが、この二人の若者に対して何をしたかは、ここにのべない。」とあるのみw