神泉
(ナレーション)
それは、1枚のハンカチから始まった・・・・
ト書:捜索隊の兵士がトビラを開け、暗闇に光が差す。細い光の幅がトビラが開くに連れて広がり、そこに積み上げられた衣類、タオルの山が見える。
兵士A:「うへぇ。この中から探すのかよ」
兵士B:「文句を言うな。まずは左側の棚からだ。急げよ」
ト書:暗転→場面転換して王の間
ベントール王:「早く“あのハンカチ”を持て!余はあのハンカチでないとだめなのだ!」
側近:「ははぁ!(後ろを振り返り)捜索隊はまだか?!」
タイトル:
弁当を包むためのいつものハンカチ。
タイトル:
週末の洗濯を経てクローゼットのいつもの場所に仕舞われていたはずだった“あのハンカチ”・・・
ト書:場面変換→再びクローゼットの捜索隊
兵士:「ええい、なんだこの衣類とタオルの山はっ!“あのハンカチ”が見あたらんじゃないか!」
兵士:「ばっ、ばか!そんなに強く引っ張ったら・・・?!」
ト書:BGMスタート
ト書:崩れてくる衣類とタイルの山、逃げ惑う兵士たちに次々と衣類とタオルが襲い掛かる。
兵士:「た、隊長!タオルが10、、、いや20枚以上こちらにっ!」
隊長:「ええぃ!何をしている!10や20のタオルなど端から畳んで整理するのだ!」
兵士:「ダメです!て、敵は、ハンドタオル、ミニタオル、バスタオル、洗顔タオルの混合部隊です!」
隊長:「な、なんだと?!それを分類していては我隊の処理能力が・・・・う、うわぁ!!!」
ト書:タオルが覆いかぶさって暗転 → 崖の上からそこを見下ろしている旅人風の謎の男
男:「またクローゼットが1つ死んだ。。。行こう、ここもじきタオルの海に沈む」
ト書:翻って立ち去る男
タイトル:
幅125cm、奥行80cm、高さ210cmの広大なクローゼットで繰り広げられる壮大なスペクタクル巨編!!!
ト書:馬上の王を見上げる構図。愕然とした表情のベントール王
ベントール王:「せ、せめて冬物と夏物をきちんと仕分けておけば・・・」
ト書:馬上でうずくまり、肩を震わせる王。側近2名だけを連れた王を中央にしてカメラは上空に引いて行く。一面に兵士達が倒れ、タオルと衣類が散らばっている。
タイトル:
そしてむかえる衝撃のラストシーン!
ト書:がらんとしたクローゼットの中に、1つだけ開けられずに残っている箱。ゆかの下着を仕舞っているケース。
ト書:“あのハンカチ”は、ここにだけはない、あるはずがないと思っている下着ケースを恐る恐る開けるわしの手。。。。詰め込まれた下着の上にぽつんとある“あのハンカチ”(実話)
わし:「!?・・・・嘘だと言ってよ、バーニィ」
タイトル:
全俺が泣いた!
タイトル:
『クローゼットの中の戦争』
タイトル:
絶賛上映打切決定!
昨日の朝の話しだけどね。