上野

Dowa2008-08-10


ちょっと曇ったり晴れたり。

上野の国立博物館でやっている特別展「対決 巨匠たちの日本美術」を観にいってきました。


かなり盛況ということだったので開館直後を狙って9:00過ぎに上野着。


面白かった!!!

円山応挙 VS 長沢芦雪
http://www.asahi.com/kokka/masterpiece/9.html

応挙の屏風はなんとなく愛嬌のある虎が数頭描かれていて和むもの。
これは応接の間などでリラックスして観るためのものだからかなぁ。雌の虎として描かれているヒョウとその隣の白虎が「んん?」と感づいたところに、後ろから別のオスの虎が近寄ってる、って感じの動きです。


一方、芦雪の襖絵は、巨大な虎がどーんっと描かれています。
ヒゲは全て天を指し、揃えた大きな前足と軽く曲げた後ろ足がいまにも飛び掛りそうな大迫力の姿。

開け放たれた部屋に通されたお客さんに襖を閉めてこの絵を見せたら、いきなり虎が現れたようなインパクトがありそう。なんか合体ロボットのドッキングシーンとキメポーズのアレに通ずるものを感じました。

ガシーン!ガシーン!ガシーン!完成 「虎」!みたいな(「ガシーン」は襖を閉める音と思ってください)


また、今回のこの展示の目玉の1つでもある狩野永徳の「松に叭叭鳥(ははちょう)・柳に白鷺(しらさぎ)図屏風」も見ごたえがありました。


狩野永徳に新たな真筆 幻の屏風、7月に公開
http://www.asahi.com/kokka/topics/TKY200805260183.html


最近見つかった作品ですが、それぞれの鳥が水浴びしたりエサをついばんだりしている図。
「これ、食えるんじゃね?」「食えないんじゃね?」とか言ってそうだったり、水浴びの順番を待ってたり、鳥たちがものすごく生き生きと描かれていて、この屏風はずーっと眺めてても飽きないんじゃないかと思える面白さです。


西洋美術のどこか「マジメ」な絵画に比べ、襖絵や屏風、浮世絵、茶器などには純粋に作り手が「こう見せたら面白くね?」とか「こんなデフォルメどうよ?」のような「遊び」が前面に出ていて何も知らなくても純粋に面白がって楽しめる気がします。
絵画とかは説明書きを先に読んじゃうものが多いのですが、今日の展示は作品だけみて「ああ、こんな部屋でこういう使い方して欲しいと思って描いたんだろうな」という(勝手な)想像が広がり、きっと作者がそれを思い浮かべてニヤニヤしただろう意図を感じてやっぱりニヤニヤしたり。


どの作品もすごくわくわくする面白さが溢れていました。


その中でもちょっと異彩を放っていたのが芦雪の「山姥図額」。
いわゆる「やまんば」の姿絵ですが、恨めしそうな流し目と裾の擦り切れたつぎはぎだらけの着物。足元にすがりつく真っ赤な子供。

山姥の凄みと何かバックボーンがありそうな哀れみが強く滲んだ絵でした。


その後、新宿に移動して久しぶりに「すずや」でとんかつ茶漬け。ごはんお代わりでおなかいっぱい。
東口をぶらっと回って帰宅し、夕飯はお茶粥を、小口に刻んだ塩豚を炒めてゆず味噌で和えたもの、湯葉ちりめん(三味洪庵)でいただきました。

デザートは「ありの実」。シャクシャクした歯ざわりが涼しい〜。