汐留

Dowa2008-12-11


気温が上がってコートだと汗ばむくらいでした。


今日は情けないこととちょっと救われることが交互で2セット遭遇。


午前中直行の打ち合わせで、朝は少し早めに家を出ました。

駅近くで自転車の女性がバッグを歩道に落としてしまい、そのバッグを拾うために歩道で自転車の向きを変えようとして自転車を降りたのですが、切り返しに手間取っていました。


その間、50〜60代くらいの男性が3人脇を素通り。
ちらりと見るのでまさか目に入ってないわけでもないようなのに大の男が3人も居て一人として女性に手を貸せないとはなんと情けない・・・


どの男性も特に急いでいるようでもなく、ただ落ちたバッグを拾うだけのことをしないという横暴さというか横柄さというか。


4人目に通りかかったのわしだったので、落ちたバッグを拾って女性に渡したところ、丁寧にはっきりと「ありがとうございます」と言われて気持ちが収まりました。


そして打ち合わせの帰り。
地下鉄に乗ったのですが、ちょうどお昼時で結構な混雑。おまけに地下鉄は車両が狭いので車内も窮屈です。
その窮屈な車内で足を投げ出して座っているノウタリンが居たのですが、情けなかったのはこのノウタリンではなく、それを避けてわしが前に立った座席の男性。


やはりこの男性も50代くらいで、スーツを着たいわゆる「サラリーマン」風。

わしは手提げのビジネスバッグを持っていますが肩紐(スリング)もついているので、肩紐をかけ、混雑した車内で邪魔にならないようにカバンを前に下げて持って立っていました。

停車した駅でわしの後ろを人が通って降りようとしたため、身体を前に傾けて後ろの人を通したのですが、そのとき前に下げたカバンを座席の男性の膝に押し付けたらしく「(膝に)カバンが当たってます!」とこっちを睨むのです。


そりゃ、あんたこんだけ混んでるところで降りる人を通そうと場所を詰めたらカバンくらい当たろうよ。と思ってまじまじと男の顔を見たらなんかまだこっちを睨んでます。
その男性は割と深く腰掛けているのですがもうちょっと足を引く余地もありそうなので、「そっちがもっと深く腰掛けろ」と言おうか「こんだけ混んでるのに無茶言うな」と言おうかと考えたのですが、どう言っても面倒になりそうだし、ただの田舎者かもしれないと思って無言で睨み返しました。


確かに網棚は空いていたので網棚にバッグを上げるという選択肢はあるにはありますが、こちらも混雑した車内で邪魔にならないようバッグを前にして立ち、後ろを通る人のために通路を空けてるのに座席に座った自分は「カバンが当たってます」か。。。。その年でその格好なら勤め先でもそれなりの地位にありそうなものなのにと思うと、腹を立てるのと同時になんかもう情けなくなりました。
周囲の状況がどうあろうと自分が不愉快だと我慢ならないのでしょう。というより、周囲の状況など知ったことではないのかもしれません。


おまけに次の駅で降り際に「カバンが当たってました。気をつけてください!」とか捨てゼリフを吐いていきました。


ところが、その男性の隣に座っていた60代後半か70代くらいのちょっと洒落たスーツのご老人が、空いた席を指差してわしに座れという手振りでわしを隣に座らせてこう言ってくれました。


「こんな混んでる電車で、カバンが当たってます、もないもんだ。あの人、降り際にオレの顔まで睨んで行ったよ。
立派なスーツを着たいっぱしのサラリーマンに見えるがなんとも変にイヤな人も居たもんだね。
あんた、あんなこと言われたが気にすることはないよ。」


わしはムカっとした顔をしていたのでしょうが、この言い方には胸がすく思いでした。
今朝の女性を思い出し、「ありがとうございます」となるべくはっきりと丁寧に礼をのべ、そのあと2〜3言葉を交わし、表参道でそのご老人の降車を見送りました。


「亀の甲より年の功」とは言いますが、ああいうときにすかさず若輩者のフォローが出来るというのは、なかなかどうして簡単なことではないと思います。

今日は嫌な人間も見ましたが、“刹那の邂逅”とはいえできた人物にも出会うことができた巡り合わせの日でした。