青葉台
日食だと騒がれていましたがあいにくの雨でした。→ と思ったら今日は21日だった^^;
気温はあまり上がりませんでしたがそれなりに湿度が高くてじめじめ。
ああ、ジーンズのケツに穴が、、、、ジーンズを買いに行くのに和服でいくと試着でいろいろ面倒だ。でも、休日にわざわざ洋装で出かけるのもなんだかなぁ。
ああ、仕事帰りに買えばいいのか。
さて、先週に引き続き最終回の第3話です(ええええええぇ!
第1話:普通に日記
http://d.hatena.ne.jp/Dowa/20090706
第2話:時代小説→携帯小説→時代小説
http://d.hatena.ne.jp/Dowa/20090714
カブトムシの角がぐぐぅーっと迫ってくる。
もうだめかと両目を瞑って身構えたそのとき、部屋全体を包むようにジージージワジワというかすかな音が響いてきた。
「む?何やつ!」
とカブトムシが問うや、音は急激に大きくなり、ジージーミンミン、ジュワジュワミンミンと部屋中にこだまする蝉の声。
と、どこから現れたか幾百幾千というセミがカブトムシをざざあああぁっと取り囲む。
よくよく見るとこのセミ、身体が半分透けており、なんとはなしに足の先のほうが見えない。つまり、セミの幽霊。
この無数の幽霊ゼミがカブトムシに襲い掛かった。
非実体のスォームに「わずらわし」を喰らったのだからカブトムシはたまらない。
「ううーむ、こやつらめ、こやつらめ」
と頭の角を右に左にと激しく振り回すが幽霊ゼミのスォームにはいっかな打撃を与えられない。
「ええぇーい、これはたまらぬ」
とカブトムシは、ノコギリクワガタが食い破った玄関のドアからほうほうの態で退散していった。
さて、取り残されたのはわしと幽霊ゼミ。助かったものなのかこれから虫の幽霊にとり殺されるのかと思っていたら幽霊ゼミの中からひょいと飛び出したひときわ大きいのが眼前に進み出る。
「ああ、ご無事でなにより」
と言うのは、なんといつぞやの恩返しゼミ!
「おや!おまえさんかい!これは危ないところを助けてもらった。ありがとう、ありがとう。情けは人のためならず、というが本当だねぇ。ところでずいぶんお仲間がいるようだが、これはあの世のお仲間かい?」
「ええ、どうもあたしらは群れる習性があるようで、あの世で集まって学問などをやっていました」
「へぇ〜、なにかい?節足動物は死後に学問をやるのかい?」
「いえ、あたしらは“〜ゼミ”って言うだけありまして学問のために集まるんで」
「ははぁ、、、、、“ゼミ”ね・・・・・・そういうもんかい?」
「ええ」
「それでこれは同じ“ゼミ”のお仲間ってわけかい」
「ええ、恩返しの機会を虎視眈々と狙っておりましたらこのたびのこと。すわ一大事と慌ててあの世から集まってもらったんです」
「“虎視眈々”の使い方がどうも少し違うようだが、まぁ、一年くらいの学問じゃぁしょうがねえやな。そうかい、でもありがとよ。ほんとに助かった」
「そう言っていただけて、あたしもようやくあっちでの学問に身が入るというものです。でも、もう1つだけ助(す)けさせてくださいまし」
「いやいや、これ以上なんかしてもらうのは気がひけるよ。ねぇ。生命(いのち)を救ってもらったんだ、もうこれ以上のことはないンだ」
「いえね、カブトムシが出てったそのぉドアを直してきちんと閉まるようにしておこうかと思いまして。。。。」
「ドアぁ?いいーんだよ、あんなのぁ。あの様子じゃカブトムシだってもうこねぇだろうしね。一晩くらい開いてたってかえって風通しがいいくらいなもんだ。大家さんに言えば明日にも直してもらえるンだから、そんな気を使わなくっても....」
「いえ、ことわざにもありますからね。カブトムシが逃げてったあのドアをきちんと閉めさせていただかないことにはご恩は返せません」
「え?ことわざにィ?あったっけな、そんなことわざぁ?学問してるだけあって知恵がついたねぇ。なんてことわざだい?」
「ええ、“勝ってカブトの戸を閉めろ”」
おあとがよろしいようでm(_ _)m